書き物
エッセイ


スキップ.

ダ・ヴィンチより500年、
シェークスピアより400年、
モーツァルトより250年、
ダダより100年、
ロックンロール誕生より50年、
ポップアートより50年、
ビートルズより40年、
ヒップホップより30年、僕らは未来に生きています。

しかも、レコードやビデオ、美術館や文献で、その間のプロセスを僕らはあるていどだけど知ることができます。
CGのジョン・ホイットニーやスタンリー・キューブリック、ロイ・リキテンシュタインの知らないことを僕らは知っています。あるいは体験しています。
才能は彼らより劣っても、手に入れられる情報量では僕らに圧倒的にアドバンテージがあります。

だから、すでに世に出た彼らの「技術」や「修練」「発想」「センス」はちゃっかりサンプリングさせていただいて、その部分はスキップする。
僕らは彼らがやっていないこと、やりきれなかったことを実現するために時間を費やす。
伝統的な技巧を身につける時間は割愛して、その時間を次のステップを踏むためにつかう。

R&Rやヒップホップが好きなのは、センスさえあれば比較的カンタン!?にできる音楽だし、
ビットマップだって、ビットマップでやると決めてしまった瞬間に
技術の修練に時間を費やしようがあまりなくて(笑)、
未来ヘのステップを踏むのにベリー都合がいいからなわけです。


単行本『雨にデザインすれば』(Ac+ar)より. 2004年


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